
日本公証人連合会の発表によると、令和7年に作成された遺言公正証書は12万3,891件となりました。遺言への関心は年々高まっていますが、公証役場での作成手続きに馴染みがないために踏み出せない方も多いのが実情でしょう。
本記事では、公正証書遺言を作成する流れを6つのステップに分けて詳しく解説するとともに、費用の計算方法や令和7年10月に始まったデジタル化の最新動向、そして専門家に依頼した場合のメリットまでお伝えします。
公正証書遺言とは何か

公正証書遺言とは、公証役場に所属する公証人が、遺言者の意思を聞き取ったうえで作成する遺言書です。公証人は裁判官・検察官・弁護士など法律実務の経験が豊富な人の中から法務大臣が任命する実質的な公務員であり、法的に不備のない遺言書を作成してくれます。
自筆証書遺言との最大の違いは「形式不備で無効になるリスクがほぼゼロ」という点にあります。自筆証書遺言は日付や署名の書き方を一つ間違えるだけで遺言全体が無効になりかねませんが、公正証書遺言であればそうした心配は不要です。
加えて、原本がデータとして公証役場で保管されるため、紛失や改ざんのおそれもありません。家庭裁判所での検認手続きも不要であり、相続開始後にすぐ遺言の内容に基づいた手続きを進められるのも大きな強みでしょう。
公正証書遺言を作成する6つのステップ

ステップ1:遺言内容の方針を固める
最初にやるべきことは、「誰に、どの財産を、どのように渡すか」の大枠を決めることです。
ここで大切なのは、不動産・預貯金・有価証券・保険など財産の全体像を棚卸しすることです。固定資産税の納税通知書や通帳、証券口座の残高報告書などを手元に集めて、財産の種類と評価額を把握しましょう。
遺留分(配偶者や子どもに保障された最低限の取り分)への配慮も欠かせません。「全財産を長男に」という遺言は法的に有効ですが、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性が高く、かえって紛争の火種になることがあります。
この段階で司法書士などの専門家に相談しておくと、遺留分を考慮した配分や、相続税の概算シミュレーションも含めた総合的なアドバイスを受けられます。国松司法書士法人では初回相談無料で遺言の方針づくりからサポートしています。
ステップ2:必要書類を集める
公証人との打ち合わせに先立ち、以下の書類を準備する必要があります。
遺言者本人の印鑑証明書(発行から3か月以内)と実印又は運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等の官公署発行の顔写真付き身分証明書、戸籍謄本は必須です。財産を受け取る相手が相続人であれば、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本、相続人以外に遺贈する場合は、受遺者の住民票等、法人の場合にはその法人の登記事項証明書又は代表者事項証明書(登記簿謄本)が求められます。
不動産が含まれる場合は、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または納税通知書の課税明細書)も必要です。預貯金については、金融機関名・支店名・口座番号を特定できるメモや通帳のコピーがあれば十分でしょう。
書類の収集は意外と時間がかかります。特に相続人が多い場合や兄弟姉妹、甥姪の場合、戸籍を遡って取り寄せるだけで1か月程度必要になることも珍しくありません。国松司法書士法人では戸籍収集の代行も行っており、この工程の負担を大幅に軽減できます。
ステップ3:公証人との事前打ち合わせ又は専門家による起案と公証人との折衝
必要書類が揃ったら、公証役場に予約を入れて公証人と打ち合わせを行います。日本公証人連合会のWebサイトから全国の公証役場を検索でき、相談は無料です。
打ち合わせでは、遺言者の希望する分配内容を伝え、公証人が法律に照らして文案を作成します。「自宅は妻に、預貯金は二人の子どもで半分ずつ」といった概要を伝えれば、公証人が法的に正確な表現に仕上げてくれます。
打ち合わせは1回で済むケースもあれば、遺産の内容が複雑な場合は2~3回必要になることもあるでしょう。電話やFAX、メールでのやり取りで進めることも可能です。
実務上のポイントが一つあります。公証人は遺言の形式面を整えるプロですが、相続税や遺留分対策まで踏み込んだ助言をしてくれるわけではありません。「どう分けるか」の判断は遺言者自身が行う必要があり、その判断をサポートするのが司法書士や弁護士の役割です。
なお、国松司法書士法人では、必要書類がそろった段階で遺言者と相談しながら公証役場へ提出する遺言書案を起案します。
公証人が気づかない家族関係の調整、心理面などにも配慮しながら、遺言書案を調整し、最終案を公証役場へ提出します。
公証人はその最終案をベースにして公正証書案を作成します。公証人とのやりとりはすべて国松司法書士法人が行います。
ステップ4:証人2名を手配する
公正証書遺言の作成には、2名以上の証人の立ち会いが法律で義務づけられています。ただし、推定相続人(将来相続人になる人)やその配偶者・直系血族は証人にはなれません。未成年者や公証人の関係者も不適格です。
実際のところ、証人の適格者が身近にいないケースは多く、公証役場に紹介を依頼することも可能です。公証役場紹介の証人には日当(1名あたり5,000円~15,000円程度)がかかります。
司法書士事務所に遺言作成を依頼した場合は、事務所のスタッフが証人を務めてくれるケースが一般的です。国松司法書士法人でも証人2名の立会いに対応しており、証人の手配に悩む必要がありません。
ステップ5:作成当日の手続き
作成当日は、遺言者本人と証人2名が公証役場に出向きます。なお、高齢者施設や病院、自宅に出張してもらうことも可能です。当日の所要時間はおおむね30分~1時間程度です。
まず公証人が遺言者の本人確認を行い、遺言者が口頭で遺言の内容を伝えます(口授)。実務上は事前に文案ができあがっているため、「この内容で間違いないか」という確認のやり取りが中心になります。
公証人は作成した遺言書を遺言者と証人2名に読み聞かせ、内容に間違いがなければ、遺言者・証人・公証人がそれぞれタブレットに電子サインをして完成です。
遺言者が署名できない場合は、公証人がその事由を付記して代筆することも認められています。高齢で字を書くのが困難な方でも公正証書遺言を作成できるのは、自筆証書遺言にはない大きなメリットです。
なお、公証人との口述中は、たとえ配偶者や子どもであっても同室での立ち会いはできません。遺言者本人の自由な意思を確保するための措置です。
ステップ6:正本相当の同一事項証明書面・謄本相当の全部事項出力書面の受け取りと保管
完成した公正証書遺言は、原本・正本相当の同一事項証明書面・謄本相当の全部事項出力書面の3種類が作成されます。原本は公証役場で保管され、遺言者は正本相当の同一事項証明書面と謄本相当の全部事項出力書面を受け取ります。
正本相当の同一事項証明書面は原本と同じ効力を持つ書面であり、相続発生後の手続き(不動産の名義変更、預金の解約など)で使用します。遺言執行者を指定している場合は、正本相当の同一事項証明書面を遺言執行者に預けておくのが一般的でしょう。
謄本相当の全部事項出力書面は遺言者本人の手元に保管しておき、内容を確認したい場合などに使用します。万が一正本相当の同一事項証明書面を紛失しても、原本が公証役場に保管されているため、再発行を受けることが可能です。
公正証書遺言の作成にかかる費用

公正証書遺言の費用は、公証人に支払う手数料と、専門家に依頼する場合の報酬の2つに分かれます。
公証人手数料の計算方法
公証人手数料は公証人手数料令で法定されており、財産を受け取る人ごとに「目的の価額」に対応する手数料を計算し、合算する仕組みです。
目的の価額が100万円以下の場合は5,000円、100万円超200万円以下は7,000円、200万円超500万円以下は13,000円、500万円超1,000万円以下は20,000円、1,000万円超3,000万円以下は26,000円、3,000万円超5,000万円以下は33,000円、5,000万円超1億円以下は49,000円となります。
加えて、遺産総額が1億円以下の場合は「遺言加算」として13,000円が上乗せされます。正本・謄本の交付手数料は、書面の場合は1枚あたり300円、電子データの場合は1通あたり2,500円です。
たとえば、配偶者に3,000万円の自宅、長男に2,000万円の預貯金を相続させる内容であれば、配偶者分の手数料26,000円+長男分の手数料26,000円+遺言加算13,000円=65,000円に正本相当の同一事項証明書面・謄本相当の全部事項出力書面の交付手数料を加えた額が総額の目安になります。
専門家に依頼する場合の費用
司法書士や弁護士に遺言書の文案作成や公証人との折衝を依頼する場合は、別途報酬が発生します。
国松司法書士法人の場合、公正証書遺言作成支援は159,500円(税込)からとなっており、遺言書の文案作成と公証人との調整が含まれています。証人の立会い費用は1名あたり13,200円(税込)です。
令和7年10月に始まったデジタル化で何が変わったか

令和7年10月、公証人法の改正により公正証書のデジタル化がスタートしました。遺言公正証書についても、従来の対面方式に加えて新たな選択肢が加わっています。
最も大きな変化は、Web会議システム(Microsoft Teams)を利用したリモート方式で公正証書遺言を作成できるようになった点です。高齢や病気で公証役場に出向くことが難しい方にとっては、自宅や病院からでも遺言作成が可能になる画期的な制度改正と言えるでしょう。
ただし、リモート方式を利用できるのは、デジタル化に対応した「指定公証人」がいる公証役場に限られており、公証人が「相当」と認めた場合に限定されます。遺言者の真意確認が難しいと判断されれば、従来どおり対面方式での作成が求められます。
また、デジタル化に伴い、署名捺印の代わりに電子サインを利用できるようになり、印鑑証明書に代えてマイナンバーカード等による本人確認も可能になりました。原本は電子データとして日本公証人連合会が運営するシステムに保管されるため、災害時のバックアップ体制も強化されています。
公正証書遺言を作成する際の注意点

遺言執行者の指定を忘れない
遺言の内容を確実に実現するためには、遺言執行者を指定しておくことが重要です。執行者がいなければ、不動産の名義変更や預金の解約で相続人全員の協力が必要になり、手続きが滞るリスクがあります。
司法書士法人を遺言執行者に指定しておけば、相続開始後に中立的な立場で速やかに遺言の内容を実行してもらえるため安心です。
付言事項で分配の理由を伝える
法的効力はないものの、「なぜこの分け方にしたのか」を家族への手紙として書き添えておくと、相続人同士の納得感が大きく変わります。分け方に偏りがある場合でも、故人の言葉で理由が説明されていれば、紛争に発展するリスクは低くなるでしょう。
定期的な見直しが必要
遺言書は一度作ったら終わりではありません。家族構成の変化(離婚、養子縁組、相続人の死亡など)や財産内容の大幅な変動があった場合は、遺言の内容を見直す必要があります。新しい公正証書遺言を作成すれば、古い遺言は自動的に撤回されたものとして扱われます。
公正証書遺言の作成は国松司法書士法人にお任せください
「公正証書遺言を作りたいが、公証役場でのやり取りが不安」「遺留分や相続税のことも考えた遺言書にしたい」「そもそも遺言書が必要かどうかから相談したい」といったお悩みは、相続・遺言の相談と手続きの実績27年目、累計20,000件超の国松司法書士法人にお任せください。
当事務所では、遺言書の文案作成から公証人との折衝、証人の手配(スタッフ2名が立ち会います)、作成当日の同行まで、すべてワンストップでサポートしています。司法書士・行政書士・土地家屋調査士のトリプルライセンスを保有しているため、遺言作成後の相続登記や境界確認、土地の測量、さらには家族信託の設計までまとめてご相談いただけます。
初回相談は無料です。国分寺市・国立市・府中市・小平市・小金井市など多摩エリアの方はもちろん、全国からのご相談も大歓迎です。
【この記事の監修:司法書士國松偉公子】プロフィールはこちらに掲載されています。事務所概要 – 国松司法書士法人【国分寺駅南口2分】
この記事の監修者
国松司法書士法人(クニマツシホウショシホウジン)
行政書士国松偉公子事務所
オールフォーワン土地家屋調査士事務所
代表者
國松 偉公子(簡易裁判所代理権あり)
兵庫県神戸市生まれ。神戸高校、大阪大学卒業後上京。民間企業勤務を経て司法書士資格を取得。平成12年に東京都国分寺市内で司法書士国松偉公子事務所を開業。国分寺市を中心とした東京多摩地域で、開業当初から相続に力を入れ、遺言・成年後見・家族信託という相続周りの業務含め26年間で2万件を超える相談、手続実績を重ねた。その間、ワンストップサービス実現を目指し、行政書士資格、土地家屋調査士資格を取得し、事務所を併設、合わせて司法書士事務所を法人化。ハウスメーカー、金融機関、会計事務所、不動産会社等との強固な信頼関係を築きながら、エンドユーザーである個人顧客の遺言作成支援や家族信託の組成等の生前対策に力を入れている。共著に「相続手続きと生前対策ハンドブック」「相続の基本と最新対策がわかる本」(いずれも株式会社アックスコンサルティング 出版局)「地主のための相続対策」(幻冬舎)がある。
資格
司法書士(東京司法書士会所属)、土地家屋調査士(東京土地家屋調査士会所属)
行政書士(東京都行政書士会所属)、民事信託士(一般社団法人民事信託推進センター)
成年後見人名簿・成年後見監督人名簿登載(家庭裁判所)
相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会)
財産管理マスター(一般社団法人日本財産管理協会)
一般社団法人家族信託普及協会会員
国分寺市政治倫理審査会元委員
国分寺市財産価格審議会委員
- 初回のご相談は無料です
- 出張可(成約時は出張料無料)
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上記以外の時間帯は大変に申し訳ございませんが「ご相談フォーム」よりご連絡をお願い致します。 - ご相談フォーム
当事務所のサービス
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