
【この記事の監修:司法書士國松偉公子】公正証書遺言は「最も確実な遺言方式」として広く推奨されています。公証人が作成するため形式不備で無効になるリスクはほぼゼロ、原本は公証役場に保管されるので紛失や改ざんの心配もありません。しかし、メリットばかりが強調される一方で、デメリットについて十分に理解しないまま作成に踏み切り、後から「こんなはずではなかった」と感じる方がいるのも事実です。費用がかかる、手間と時間がかかる、遺言の内容を第三者に知られてしまいます。公正証書遺言には自筆証書遺言にはない固有の弱点があり、それを正しく理解したうえで選択することが大切です。
本記事では、公正証書遺言の代表的なデメリットを具体的に掘り下げるとともに、それぞれの対処法や、デメリットを踏まえてもなお公正証書遺言を選ぶべきケースについて解説します。
公正証書遺言の5つのデメリット

デメリット1:作成に費用がかかる
自筆証書遺言は紙とペンがあれば無料で作成でき、法務局の保管制度を利用しても3,900円で済みます。
一方、公正証書遺言は公証人手数料令で定められた手数料がかかり、財産額や相続人の数に応じて金額が変動します。
たとえば、配偶者に3,000万円の不動産、子どもに2,000万円の預貯金を相続させる内容であれば、公証人手数料だけで約6万円。さらに司法書士や弁護士に文案作成を依頼すれば10万円〜20万円程度の専門家報酬が加わります。証人を公証役場に紹介してもらう場合は、1名あたり5,000円~15,000円程度の日当も別途必要です。
合計すると、専門家に依頼した場合のトータルコストは20万円~30万円程度になるケースが珍しくありません。「遺言書を作るだけでこんなにかかるのか」と感じる方がいるのは当然でしょう。
ただし、この費用を「高い」と見るか「安い」と見るかは、遺言書がない場合に起こりうる事態と比較して判断すべきでしょう。遺言書がなければ相続人全員での遺産分割協議が必要になり、協議がまとまらなければ調停・審判に発展します。
令和6年の司法統計によると、遺産分割事件は年間15,379件にのぼり、解決までに1年以上かかるケースも多いのが実態です。弁護士費用や精神的な負担を考えれば、20万円〜30万円の予防投資は決して割高とは言えないかもしれません。
デメリット2:作成に手間と時間がかかる
自筆証書遺言は思い立った日に自宅で書き上げられますが、公正証書遺言はそうはいきません。
必要書類の収集(戸籍謄本、印鑑証明書、登記事項証明書、固定資産評価証明書など)、公証人との事前打ち合わせ、証人の手配、作成日当日の公証役場への出頭など、これら一連の工程を経て完成するまでに、スムーズにいって2か月~3か月程度を要します。
特に相続人が多い場合や、遠方の不動産を複数所有している場合は、戸籍の取り寄せや評価証明書の取得だけで1か月程度かかることも珍しくありません。「急いで作りたい」という状況には向かない方式です。
この点は、司法書士などの専門家に依頼することで大幅に軽減できます。国松司法書士法人では、戸籍収集から公証人との折衝、証人の立会いまでを一括してお受けしており、お客様にお願いするのは「どう分けたいか」の意向確認と、作成当日の公証役場への出頭だけという体制を整えています。
デメリット3:遺言の内容が公証人と証人に知られる
公正証書遺言は、公証人1名と証人2名の合計3名に遺言の内容が伝わります。「財産をどう分けるか」という極めてプライベートな情報を第三者に開示しなければならない点に、抵抗を感じる方は少なくないでしょう。
公証人には職務上の守秘義務が課されており、証人にも民法上の欠格事由(推定相続人やその配偶者・直系血族は証人になれない)が定められているため、利害関係者に内容が漏れるリスクは制度上かなり低く抑えられています。
とはいえ、「誰にも知られずに遺言を作りたい」という要望に完全に応えることは、公正証書遺言では構造的に不可能です。秘密性を最優先するのであれば、自筆証書遺言を選択する方が適しているでしょう。
なお、司法書士事務所のスタッフが証人を務めるケースでは、守秘義務を負った専門家が立ち会うため、知人に証人を頼む場合と比べれば情報管理の面で安心感があります。
デメリット4:訂正・撤回に再び手続きと費用が必要
自筆証書遺言であれば、新しい遺言書を書き直すだけで古い遺言は撤回されたものとみなされます。費用はかかりません。
公正証書遺言の場合も、新しい遺言書を作成すれば古い遺言を撤回できるという法的な仕組みは同じですが、その「新しい遺言書」を再び公正証書で作成するのであれば、改めて公証人手数料や専門家報酬が発生します。
家族構成の変化(再婚、離婚、養子縁組、相続人の死亡など)や、財産内容の大幅な変動(不動産の売却、新たな資産の取得など)があるたびに見直しの検討が必要になるため、「一度作れば永久に安心」というわけではない点は理解しておくべきでしょう。
実務上のアドバイスとしては、遺言の主要な部分を変更する場合は公正証書で作り直し、軽微な修正にとどまる場合は自筆証書遺言で上書きするという使い分けも可能です。どちらの方法が適切かは、変更内容の重要度に応じて専門家に相談するのがベストでしょう。
デメリット5:公証役場まで出向く必要がある
公正証書遺言の作成当日は、原則として遺言者本人が公証役場に出向かなければなりません。高齢で足腰が弱っている方や、入院中の方にとっては大きな負担です。
ただし、公証人が自宅や病院、介護施設に出張して遺言を作成することも認められています。出張の場合は公証人の日当(半日1万円、1日2万円)と交通費が加算され、手数料も50パーセント増しになることがありますが、移動が困難な方にとっては有力な選択肢です。
さらに、令和7年10月からはデジタル化により、Web会議システム(Microsoft Teams)を利用したリモート方式での公正証書遺言作成も可能になりました。公証人が「相当」と認めた場合に限られますが、遺言者が自宅からオンラインで手続きを完了できるようになった点は、出向きのデメリットを大きく緩和する制度改正と言えるでしょう。
それでも公正証書遺言を選ぶべき5つのケース

デメリットを踏まえたうえで、それでもなお公正証書遺言が適しているのはどのようなケースでしょうか。
相続人同士の仲が良くない、あるいは疎遠な場合
遺言書の有効性そのものが争われるリスクがあるため、公証人が関与した公正証書遺言のほうが紛争予防効果は格段に高くなります。
財産の規模が大きい、または不動産が含まれる場合
不動産の名義変更には遺言書の記載が正確であることが求められ、自筆証書遺言の曖昧な記載が原因で登記が通らないケースは実務上かなりの頻度で見受けられます。
遺言者が高齢で自書が困難な場合
自筆証書遺言は財産目録を除き全文を自分の手で書く必要がありますが、公正証書遺言であれば公証人の代筆で作成できます。
相続人以外の人に財産を遺したい場合
内縁の配偶者や孫、お世話になった方への遺贈は、遺言書がなければ実現できません。確実に意思を実現するためには公正証書遺言が適しています。
事業承継を考えている場合
自社株や事業用資産の分配は法的・税務的に複雑になりやすく、公証人と専門家の関与のもとで作成しておくことで、後日の紛争リスクを最小化できるでしょう。
自筆証書遺言との比較で考える「最適な選択」

公正証書遺言のデメリットは、裏を返せば自筆証書遺言のメリットでもあります。費用ゼロ、即日作成可能、内容を誰にも知られない、この手軽さは大きな魅力です。
しかし、自筆証書遺言には「形式不備による無効」「紛失・改ざんのリスク」「検認手続きの必要性」「内容の曖昧さによる手続き不能」といった固有のリスクが存在します。法務局の保管制度を利用すれば紛失・改ざんリスクと検認の問題は解消されますが、法務局は内容の有効性までは審査してくれないため、中身が法的に問題ないかどうかは自己責任です。
結論としては、「遺言を残す」こと自体が最も重要であり、まずは自筆証書でもよいから遺言書を作成し、余裕ができたら公正証書遺言に「格上げ」するという段階的なアプローチも有効でしょう。
国松司法書士法人では、自筆証書遺言の文案作成支援(33,000円・税込〜)と、作成済み自筆証書遺言のチェック(19,800円・税込〜)も承っています。「まずは自筆で作りたい」という方もお気軽にご相談ください。
遺言書の作成は国松司法書士法人にご相談ください
公正証書遺言のデメリットを正しく理解したうえで、「それでも公正証書で作りたい」と判断された方も、「自筆証書でまず一歩を踏み出したい」という方も、相続・遺言の相談と手続きの実績27年目、累計20,000件超の国松司法書士法人にお任せください。
当事務所では、遺言書の文案作成から公証人との折衝、証人の手配(スタッフ2名が立ち会います)、作成当日の同行までをワンストップでサポートしています。司法書士・行政書士・土地家屋調査士のトリプルライセンスを保有しているため、遺言作成後の相続登記や境界確認、さらには家族信託の設計までまとめてご相談いただける点が強みです。
初回相談は無料です。国分寺市・国立市・府中市・小平市・小金井市など多摩エリアの方はもちろん、全国からのご相談も大歓迎です。
【この記事の監修:司法書士國松偉公子】
プロフィールはこちらに掲載されています。事務所概要 – 国松司法書士法人【国分寺駅南口2分】
この記事の監修者
国松司法書士法人(クニマツシホウショシホウジン)
行政書士国松偉公子事務所
オールフォーワン土地家屋調査士事務所
代表者
國松 偉公子(簡易裁判所代理権あり)
兵庫県神戸市生まれ。神戸高校、大阪大学卒業後上京。民間企業勤務を経て司法書士資格を取得。平成12年に東京都国分寺市内で司法書士国松偉公子事務所を開業。国分寺市を中心とした東京多摩地域で、開業当初から相続に力を入れ、遺言・成年後見・家族信託という相続周りの業務含め26年間で2万件を超える相談、手続実績を重ねた。その間、ワンストップサービス実現を目指し、行政書士資格、土地家屋調査士資格を取得し、事務所を併設、合わせて司法書士事務所を法人化。ハウスメーカー、金融機関、会計事務所、不動産会社等との強固な信頼関係を築きながら、エンドユーザーである個人顧客の遺言作成支援や家族信託の組成等の生前対策に力を入れている。共著に「相続手続きと生前対策ハンドブック」「相続の基本と最新対策がわかる本」(いずれも株式会社アックスコンサルティング 出版局)「地主のための相続対策」(幻冬舎)がある。
資格
司法書士(東京司法書士会所属)、土地家屋調査士(東京土地家屋調査士会所属)
行政書士(東京都行政書士会所属)、民事信託士(一般社団法人民事信託推進センター)
成年後見人名簿・成年後見監督人名簿登載(家庭裁判所)
相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会)
財産管理マスター(一般社団法人日本財産管理協会)
一般社団法人家族信託普及協会会員
国分寺市政治倫理審査会元委員
国分寺市財産価格審議会委員
- 初回のご相談は無料です
- 出張可(成約時は出張料無料)
- ご質問・ご相談お待ちしています。
- 042-300-0255
- いますぐ電話する
- お電話は[月-土]9:00〜18:00までの受付となります。
上記以外の時間帯は大変に申し訳ございませんが「ご相談フォーム」よりご連絡をお願い致します。 - ご相談フォーム
当事務所のサービス
国松司法書士法人では、行政書士・土地家屋調査士事務所を併設し、不動産登記・会社法人登記・許認可・相続・遺言・成年後見・家族信託などのお悩みにワンストップで寄り添います。
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- 不動産登記
- 司法書士と土地家屋調査士のダブルライセンスで、土地と建物は登記記録を作るところから所有権の登記、抵当権抹消登記などをストレスなくスムーズに、ワンストップで実現します!
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- 建設業許可・各種許認可
- 行政書士のライセンスもあり、建設業(入札参加資格申請含む)、宅建業、旅行業、産業廃棄物処理業等の許認可申請に対応しています。
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- 相続~27年目の実績は信頼から
- 相続の手続きはとても面倒です!司法書士に依頼することで気持ちが断然軽くなります!戸籍謄本を集めて法定相続情報を取得、遺産分割協議、相続登記、預金解約などがとてもスムーズです。
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- お客さまの想いをベストな表現で!生前対策として最も有効なのが遺言書の作成です。法的有効性はもちろんのこと、作っておいて良かった!と言える遺言書本文、付言事項をご提案します。
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