
【この記事の監修:司法書士國松偉公子】
親や家族が認知症と診断され、成年後見制度の利用を検討し始めたとき、「後見人は誰にお願いすればよいのか」という問題に直面する方は多いです。最高裁判所の統計(令和7年)によると、2025年に成年後見人等に選任された専門職のうち、最も割合が高いのは司法書士で全体の33.5%を占めています。
弁護士の24.9%、社会福祉士の20.4%を上回り、専門職の中で最多という実績は、司法書士が後見業務に深く関わってきた歴史を物語っています。では、なぜ司法書士がこれほど多く選任されるのでしょうか。弁護士や社会福祉士と比べてどのような強みがあるのか。
本記事では、司法書士を成年後見人に選ぶメリットを具体的に掘り下げるとともに、費用の目安や選び方のポイントまでお伝えします。
司法書士が成年後見人として担う業務

成年後見人に選任された司法書士は、大きく分けて「財産管理」と「身上監護」の2つの業務を担います。
財産管理とは、被後見人の預貯金の入出金管理、年金の受領、税金や保険料の支払い、不動産の維持管理といった、財産に関する法律行為全般を指します。
居住用不動産の売却が必要な場合には家庭裁判所の許可を得たうえで手続きを進めることになり、登記実務に精通した司法書士の専門性が活きる場面です。
身上監護とは、被後見人の生活環境や医療・介護に関する契約行為を指す概念で、介護施設への入所契約、入院時の手続き、介護サービスの利用契約などが該当します。
直接的な介護行為は後見人の職務ではないものの、被後見人が適切なサービスを受けられるよう、本人の意思を尊重しながら環境を整える役割を果たしているのです。
さらに、後見人は年に1回、家庭裁判所に対して後見事務の報告書を提出する義務を負っています。
財産目録や収支報告書の作成は法律文書の作成に慣れた司法書士の得意分野であり、正確かつ効率的な報告が期待できるでしょう。
司法書士を成年後見人にする5つのメリット

後見人就任実績が専門職の中で最多
前述のとおり、司法書士は2025年の選任割合で33.5%と専門職中トップの実績を持ち、制度発足当初から一貫して中心的な役割を担ってきました。
就任件数は11,966件と弁護士(8,903件)を大きく上回っており、経験の蓄積に直結するノウハウが業界全体に共有されています。
リーガルサポートによる品質管理体制
司法書士には、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートという独自の支援組織があります。
リーガルサポートに所属する司法書士は、後見業務に関する研修を定期的に受講し、家庭裁判所への報告とは別に、リーガルサポートにも業務報告を行う義務を負っています。
つまり、家庭裁判所とリーガルサポートという二重のチェック体制が敷かれているということです。
弁護士が後見人になる場合にはこのような業界独自のダブルチェック機能は制度化されておらず、司法書士ならではの強みと言えるでしょう。
親族間の争いがあっても中立的に対応できる
遺産分割をめぐる親族間の意見対立がある場合、家庭裁判所は親族を後見人に選任せず、第三者の専門職を選ぶ傾向にあります。
司法書士は当事者のいずれにも利害関係を持たない立場から、被後見人の利益を第一に考えた財産管理を行えるため、親族間トラブルの回避に寄与します。
登記手続きとの連携がスムーズ
成年後見の開始後、不動産の処分が生じれば所有権移転登記も発生します。
登記は司法書士の独占業務であり、後見事務と登記手続きを同一の専門家が一貫して対応できる点は、手続きの正確性とスピードの両面で大きなメリットとなります。
弁護士に後見人を依頼した場合でも登記は可能ですが、実務上は司法書士に外注するケースが多く、結果的に二重の費用負担が生じることもあり得ます。
弁護士と比較して報酬が抑えられる傾向がある
後見人の報酬は家庭裁判所が決定するため、弁護士であっても司法書士であっても基本報酬の目安自体は同じです。しかし、申立て手続きの代行費用や任意後見契約書の作成費用については、弁護士よりも司法書士のほうが低めに設定されているケースが少なくありません。
もちろん事務所ごとの料金体系は異なるため一概には言えませんが、トータルの費用負担を抑えたい場合は、司法書士に依頼する選択肢を検討する価値があるでしょう。
弁護士・社会福祉士との役割の違い

成年後見人になれる専門職は司法書士だけではありません。弁護士と社会福祉士もそれぞれの強みを持っており、被後見人の状況に応じて適切な専門家は異なり得ます。
弁護士の強みは、訴訟代理権を有している点にあります。被後見人が当事者となる裁判や調停が見込まれる場合、弁護士であれば後見人と訴訟代理人を兼ねることができ、別途弁護士を立てる必要がありません。
ただし、後見事務の大半は裁判を伴わない日常的な財産管理と身上監護であり、訴訟対応が不要なケースでは弁護士に依頼する積極的な理由は薄れます。
社会福祉士の強みは、福祉サービスに関する専門知識です。介護保険制度や障害者支援制度に詳しく、身上監護面でのきめ細かな対応が期待できるでしょう。
一方で、不動産の売却や相続手続きといった法律行為に関する権限は限定的であり、法的な判断が求められる場面では他の専門家との連携が必要になることがあります。
司法書士は、財産管理と身上監護のバランスに優れた「実務の汎用性」が最大の特徴です。
登記、相続、成年後見という3つの分野を横断的にカバーできるため、後見業務で発生しやすい典型的な課題の多くに単独で対応できます。
司法書士を成年後見人にした場合の費用

司法書士を成年後見人に選任した場合の費用は、「申立て段階の費用」と「後見開始後のランニングコスト」に分かれます。
申立て段階では、家庭裁判所に納める実費(申立手数料800円、後見登記手数料2,600円、郵便切手代3,000円~6,000円程度、診断書取得費用など)に加え、司法書士に申立書類の作成を依頼する場合の報酬が発生します。
司法書士への依頼費用は10万円~20万円程度が一つの目安でしょう。
後見開始後の報酬は、家庭裁判所の審判によって決定されます。東京家庭裁判所の目安によると、管理財産額が1,000万円以下であれば月額2万円、1,000万円超5,000万円以下なら月額3~4万円、5,000万円超で月額5~6万円が基本報酬の相場となっています。
注意したいのは、親族が後見人に選任された場合でも、家庭裁判所が後見監督人(多くの場合は司法書士や弁護士)を選任するケースがある点です。
監督人の報酬は月額1~2万円程度が目安であり、「親族が後見人になれば費用ゼロ」とは限らないという現実を理解しておく必要があります。
信頼できる司法書士の選び方

成年後見人として司法書士を選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておくと安心です。
まず、リーガルサポートの会員であるかどうかを確認しましょう。リーガルサポート会員の司法書士は、後見業務に関する研修を修了し、ダブルチェック体制のもとで業務を行う義務を負っています。
リーガルサポートの会員かどうかは公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートのWebサイトから確認可能です。
次に、後見業務の実績を直接聞いてみることも重要です。後見人として何件の就任経験があるか、どのような類型(後見・保佐・補助)の案件を扱ってきたかを尋ねれば、その司法書士の経験値をある程度把握できます。
加えて、相続登記や不動産取引にも対応できるかどうかを確認しておくと、後見業務の中で相続が発生した場合にスムーズな対応が期待できるでしょう。
後見と相続は実務上密接に関わることが多く、両方の知見を持つ司法書士に依頼するメリットは小さくありません。
成年後見制度の今後の動向にも注目

2026年4月現在、成年後見制度の抜本的な改正に向けた議論が法制審議会で進められた結果、民法改正案は閣議決定されました。
改正案には、制度の一時利用(有期化)や「終身制」の廃止、現行の後見・保佐・補助を「補助」に一元化する方針が盛り込まれています。
とはいえ、改正の具体的な施行時期はまだ確定しておらず、現時点で判断能力が低下している方については現行制度での対応が必要です。
「改正を待つ」という判断は、その間に財産が散逸したり、必要な契約ができなくなるリスクを伴うため、早めに専門家へ相談することをお勧めします。
成年後見のご相談は国松司法書士法人へ
「親の認知症が進んできたが、後見人をつけるべきか判断できない」
「司法書士と弁護士のどちらに依頼すべきか迷っている」
「すでに後見人がついているが、対応に不満がある」
こうしたお悩みは、成年後見人名簿に登載された公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートに所属する国松司法書士法人にご相談ください。
当事務所は26年以上にわたり累計20,000件超の相続・後見関連のご相談や手続きを手がけてきた実績があり、後見の申立書類作成はもちろん、国松司法書士法人自体が後見人に就任しての財産管理・身上監護にも対応しています。
さらに、任意後見契約や家族信託の設計など、ご家族の状況に合わせた幅広い選択肢をご提案できる点が強みです。
初回相談は無料です。国分寺市・国立市・府中市・小平市・小金井市など多摩エリアの方はもちろん、全国からのご相談も大歓迎です。
【この記事の監修:司法書士國松偉公子】プロフィールはこちらに掲載されています。事務所概要 – 国松司法書士法人【国分寺駅南口2分】
この記事の監修者
国松司法書士法人(クニマツシホウショシホウジン)
行政書士国松偉公子事務所
オールフォーワン土地家屋調査士事務所
代表者
國松 偉公子(簡易裁判所代理権あり)
兵庫県神戸市生まれ。神戸高校、大阪大学卒業後上京。民間企業勤務を経て司法書士資格を取得。平成12年に東京都国分寺市内で司法書士国松偉公子事務所を開業。国分寺市を中心とした東京多摩地域で、開業当初から相続に力を入れ、遺言・成年後見・家族信託という相続周りの業務含め26年間で2万件を超える相談、手続実績を重ねた。その間、ワンストップサービス実現を目指し、行政書士資格、土地家屋調査士資格を取得し、事務所を併設、合わせて司法書士事務所を法人化。ハウスメーカー、金融機関、会計事務所、不動産会社等との強固な信頼関係を築きながら、エンドユーザーである個人顧客の遺言作成支援や家族信託の組成等の生前対策に力を入れている。共著に「相続手続きと生前対策ハンドブック」「相続の基本と最新対策がわかる本」(いずれも株式会社アックスコンサルティング 出版局)「地主のための相続対策」(幻冬舎)がある。
資格
司法書士(東京司法書士会所属)、土地家屋調査士(東京土地家屋調査士会所属)
行政書士(東京都行政書士会所属)、民事信託士(一般社団法人民事信託推進センター)
成年後見人名簿・成年後見監督人名簿登載(家庭裁判所)
相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会)
財産管理マスター(一般社団法人日本財産管理協会)
一般社団法人家族信託普及協会会員
国分寺市政治倫理審査会元委員
国分寺市財産価格審議会委員
- 初回のご相談は無料です
- 出張可(成約時は出張料無料)
- ご質問・ご相談お待ちしています。
- 042-300-0255
- いますぐ電話する
- お電話は[月-土]9:00〜18:00までの受付となります。
上記以外の時間帯は大変に申し訳ございませんが「ご相談フォーム」よりご連絡をお願い致します。 - ご相談フォーム
当事務所のサービス
国松司法書士法人では、行政書士・土地家屋調査士事務所を併設し、不動産登記・会社法人登記・許認可・相続・遺言・成年後見・家族信託などのお悩みにワンストップで寄り添います。
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- 不動産登記
- 司法書士と土地家屋調査士のダブルライセンスで、土地と建物は登記記録を作るところから所有権の登記、抵当権抹消登記などをストレスなくスムーズに、ワンストップで実現します!
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- 建設業許可・各種許認可
- 行政書士のライセンスもあり、建設業(入札参加資格申請含む)、宅建業、旅行業、産業廃棄物処理業等の許認可申請に対応しています。
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- 相続~27年目の実績は信頼から
- 相続の手続きはとても面倒です!司法書士に依頼することで気持ちが断然軽くなります!戸籍謄本を集めて法定相続情報を取得、遺産分割協議、相続登記、預金解約などがとてもスムーズです。
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- お客さまの想いをベストな表現で!生前対策として最も有効なのが遺言書の作成です。法的有効性はもちろんのこと、作っておいて良かった!と言える遺言書本文、付言事項をご提案します。
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また、登記申請については日本全国の不動産、法人の申請をお受けできます。


















