
【この記事の監修:司法書士國松偉公子】
結論から言えば、成年後見人の基本報酬は月額2万円が目安です。
ただし、管理する財産の額が大きくなれば月額3万円~6万円に増え、特別な事務が発生すれば付加報酬が加わり、さらに後見監督人が選任されれば別途その報酬も必要になります。
しかも、成年後見制度は原則として本人が亡くなるまで続くため、たとえ月額2万円でも5年で120万円、10年で240万円。トータルの負担は決して小さくありません。
本記事では、東京家庭裁判所が公表している報酬額の目安を基に、法定後見・任意後見それぞれの報酬相場、報酬の決め方、費用が払えない場合の公的支援策までを詳しく解説します。
成年後見人の報酬は誰がどうやって決めるのか

成年後見人の報酬は、後見人が自分で金額を決めて被後見人の口座から引き出すものではありません。
法定後見の場合は家庭裁判所の審判によって、任意後見の場合は事前の契約によって金額が定まる仕組みになっています。
法定後見では、後見人自らが家庭裁判所に「報酬付与の申立て」を行い、裁判官が後見事務の内容、被後見人の財産状況、事務の難易度などを総合的に判断して金額を決定します。
申立ての頻度は通常1年に1回で、定期的な事務報告と同じタイミングで行うのがほとんどでしょう。
ここで見落とされがちなのは、報酬付与の申立てをしなければ報酬は発生しないという点です。
親族が後見人になった場合に「無報酬」となることが多いのは、親族が申立てを行わないケースがほとんどだからにすぎません。
親族であっても申立てを行えば、裁判所の審判によって報酬を受け取ることは制度上認められています。
法定後見人の報酬相場

法定後見人の報酬は「基本報酬」と「付加報酬」の2階建て構造になっており、東京家庭裁判所が公表している目安が実務上の基準として広く参照されています。
基本報酬の目安
基本報酬は、被後見人が保有する流動資産(預貯金や有価証券の合計額)の大きさに応じて変動します。
管理財産額が1,000万円以下の場合、基本報酬の目安は月額2万円です。
管理財産額が1,000万円を超え5,000万円以下であれば月額3~4万円、5,000万円を超える場合は月額5~6万円となります。
管理財産額が大きいほど報酬が上がる理由は、財産の種類や運用先が多岐にわたり、管理の手間と責任が重くなるためです。
不動産収入がある場合の入金管理や確定申告、複数の金融機関への対応、保険契約の管理など、財産規模に比例して事務量は増えていきます。
付加報酬が発生するケース
通常の後見事務を超える特別な業務が発生した場合には、基本報酬に加えて「付加報酬」が認められることがあります。
付加報酬の上限は基本報酬の50%が目安とされています。
付加報酬が発生する代表的なケースとしては、被後見人の代理で遺産分割調停を申し立てて財産を取得した場合、療養看護の費用を捻出するために居住用不動産を売却した場合、訴訟や調停で被後見人の利益を守った場合などが挙げられます。
見方を変えると、日常的な預貯金の入出金管理や施設費用の支払いといった定型的な事務だけでは付加報酬は発生しないということです。
後見人の業務負担が重い場合に、それを正当に評価するための仕組みが付加報酬だと理解しておくとよいでしょう。
任意後見人の報酬相場

任意後見制度では、本人がまだ判断能力を有しているうちに、将来の後見人候補と任意後見契約を結びます。
報酬額は契約の中で当事者が自由に定められるため、法定後見のように家庭裁判所が金額を決めるわけではありません。
専門家が任意後見人になる場合
弁護士や司法書士が任意後見人に就任する場合、月額2~5万円程度で契約されるケースが多く見受けられます。法定後見における基本報酬と同水準か、やや幅がある印象です。
任意後見契約は公正証書で作成する必要があるため、公証役場の手数料(1契約につき13,000円)に加え、法務局への登記嘱託手数料1,600円、収入印紙2,600円などの実費も発生する点を押さえておきましょう。
親族が任意後見人になる場合
家族や親族が任意後見人になる場合、報酬を月額3万円程度に設定するか、無報酬とする契約も少なくありません。
ただし、任意後見制度では必ず家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任するため、監督人への報酬は別途発生します。
親族が無報酬で引き受けたとしても、監督人報酬の負担はなくならない点に注意が必要です。
後見監督人の報酬も忘れてはならない

成年後見制度を利用する際に見落とされやすいのが、後見監督人の報酬です。
後見監督人は、後見人が適切に業務を行っているかをチェックする役割を担い、家庭裁判所が必要と判断した場合に選任されます。
後見監督人の基本報酬の目安は、管理財産額が5,000万円以下の場合で月額1~2万円、5,000万円を超える場合で月額2~3万円です。
後見監督人が選任されるケースとして多いのは、親族が法定後見人に就任した場合と、任意後見制度を利用する場合の2パターンです。
特に後者は制度上、任意後見監督人の選任が義務づけられているため、任意後見を選択する以上、監督人報酬の負担は避けられません。
つまり、「親族が後見人になれば報酬がかからない」という認識は不正確で、監督人が選任されればその分の費用は確実に発生するという現実があるのです。
申立て時にかかる初期費用

報酬は後見開始後のランニングコストですが、制度を利用するにはまず家庭裁判所への申立てが必要であり、初期費用も把握しておかなければなりません。
申立てに最低限必要な実費として、申立手数料800円(収入印紙)、後見登記手数料2,600円(収入印紙)、郵便切手代3,000円~6,000円程度、そして戸籍謄本や住民票、診断書の取得費用が数千円かかります。
合計すると1万円前後がひとつの目安です。
加えて、裁判所が医師に鑑定を依頼する場合には鑑定費用として1~10万円程度が発生しますが、鑑定が省略されるケースも多いため、必ずしもかかるとは限りません。
申立て手続きを司法書士や弁護士に依頼する場合は、別途専門家への報酬として10~30万円程度を見込んでおく必要があります。
国松司法書士法人でも成年後見の申立書類作成を承っており、費用の見通しを含めた初回無料相談で丁寧にご説明しています。
報酬の支払いが難しい場合の公的支援策

「成年後見人の報酬を被後見人の財産から支払えない」「そもそも財産が少なく制度利用をためらっている」といった状況に対応するための公的な支援策が用意されています。
成年後見制度利用支援事業
各自治体が実施している「成年後見制度利用支援事業」は、申立費用や後見人報酬の助成を受けられる制度です。
助成の対象や金額は自治体ごとに異なりますが、住民税非課税世帯であることや、資産が一定額以下であることなどが要件として設けられている場合が多いでしょう。
まずはお住まいの市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターに問い合わせてみることをお勧めします。
法テラスの立替制度
法テラス(日本司法支援センター)では、経済的に余裕のない方を対象に、弁護士や司法書士の費用を立て替える制度があります。
成年後見の申立て費用についても立替の対象となるため、収入や資産が一定基準以下の方は利用を検討してみてください。
報酬を「高い」と感じたときに考えるべきこと

月額2万円~6万円という報酬を「高い」と感じる方は少なくないかもしれません。しかし、後見人が担う業務の実態を知ると、その見え方は変わってくるはずです。
後見人は、被後見人の預貯金の入出金管理、施設利用料や医療費の支払い、年金や保険の各種手続き、不動産の維持管理、年に1回の家庭裁判所への事務報告書の作成といった業務を継続的に行っています。
さらに、施設の入退所に伴う契約手続きや、入院時の医療方針に関する意思表示の支援なども含まれます。
専門職の後見人(司法書士や弁護士)が選任された場合は、法律知識に基づく適切な財産管理と身上監護が行われるため、財産の散逸や不正利用を防ぐ機能も果たしています。
一方で、成年後見制度には「原則として本人が亡くなるまで終了しない」という構造的な特徴があり、長期にわたるランニングコストが家計を圧迫しうるのも事実です。
その結果、成年後見制度の見直しが法制審議会で議論され、2026年4月、政府は民法改正案を閣議決定しました。本人の状況に応じた柔軟な利用停止や「終身制」の廃止、「補助」への一元化が示されています。
制度を利用する前に、家族信託など他の財産管理手段と比較検討することも選択肢の一つです。
ただし、すでに本人の判断能力が低下している場合には家族信託の契約を結ぶことができないため、成年後見制度が唯一の選択肢になるケースも多いでしょう。
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相続・遺言の相談と手続きの実績27年目、累計20,000件超の経験から、相続と後見が交錯する複雑なケースにも対応可能です。
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【この記事の監修:司法書士國松偉公子】プロフィールはこちらに掲載されています。事務所概要 – 国松司法書士法人【国分寺駅南口2分】
この記事の監修者
国松司法書士法人(クニマツシホウショシホウジン)
行政書士国松偉公子事務所
オールフォーワン土地家屋調査士事務所
代表者
國松 偉公子(簡易裁判所代理権あり)
兵庫県神戸市生まれ。神戸高校、大阪大学卒業後上京。民間企業勤務を経て司法書士資格を取得。平成12年に東京都国分寺市内で司法書士国松偉公子事務所を開業。国分寺市を中心とした東京多摩地域で、開業当初から相続に力を入れ、遺言・成年後見・家族信託という相続周りの業務含め26年間で2万件を超える相談、手続実績を重ねた。その間、ワンストップサービス実現を目指し、行政書士資格、土地家屋調査士資格を取得し、事務所を併設、合わせて司法書士事務所を法人化。ハウスメーカー、金融機関、会計事務所、不動産会社等との強固な信頼関係を築きながら、エンドユーザーである個人顧客の遺言作成支援や家族信託の組成等の生前対策に力を入れている。共著に「相続手続きと生前対策ハンドブック」「相続の基本と最新対策がわかる本」(いずれも株式会社アックスコンサルティング 出版局)「地主のための相続対策」(幻冬舎)がある。
資格
司法書士(東京司法書士会所属)、土地家屋調査士(東京土地家屋調査士会所属)
行政書士(東京都行政書士会所属)、民事信託士(一般社団法人民事信託推進センター)
成年後見人名簿・成年後見監督人名簿登載(家庭裁判所)
相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会)
財産管理マスター(一般社団法人日本財産管理協会)
一般社団法人家族信託普及協会会員
国分寺市政治倫理審査会元委員
国分寺市財産価格審議会委員
- 初回のご相談は無料です
- 出張可(成約時は出張料無料)
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- お電話は[月-土]9:00〜18:00までの受付となります。
上記以外の時間帯は大変に申し訳ございませんが「ご相談フォーム」よりご連絡をお願い致します。 - ご相談フォーム
当事務所のサービス
国松司法書士法人では、行政書士・土地家屋調査士事務所を併設し、不動産登記・会社法人登記・許認可・相続・遺言・成年後見・家族信託などのお悩みにワンストップで寄り添います。
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